緒言

 

[本書の特質]本書に関する大体の事柄は牧会書簡の緒言としてテモテ前書の部においてこれを述べた。それ故にここにこれを繰返す必要がない。唯本書はパウロが再びローマに幽囚の身となり、もはやその最後も近付いていることを感知しつつ(4:68)認(したた)めた書簡であって、パウロ書簡中の最後のものであり、パウロの遺言(B1)であるともいうことができる。その意味において本書簡には特に重要なる意義があることを忘れてはならない。なおこの書簡が認(したた)められし当時はテモテは一時エペソを去り、巡回伝道者 euangelistēs としてアジヤの各地を伝道しており、本書はその伝道先(おそらく彼の故郷ルステラ附近ならん)に宛てられしもののごとくである(1:184:512註参照)。